と、自分に言い聞かせた、そんな土曜日の朝。
実際には、とんでもなく焦っていた。
休暇を取っての一人旅であるため、週明けの月曜日からは仕事が待っている。
俺は混乱している頭の中を整理し、今自分が何をすべきかを考えた。

まず、俺はパスポートを失くしたという事実を認め、それをリカバリーする為に日本大使館へと電話をかけた。
窓口で電話に出てくれた人は、やや面倒くさそうに俺の話を聞いてくれた。
おそらく、そう珍しい事ではなく、「またバカな日本人がパスポート盗まれてるよ。」という感じなのだろう。
事実、その通りなので何も返す言葉はない。それどころか日本語で対応してくれる窓口があるだけで俺は大きな安心感を得る事が出来た。

電話で教えられたのは、
・パスポートの再発行には時間がかかる
・帰国の為の証明書なら数時間で発行出来る
・しかし、土曜日は窓口が開いていない
・月曜日の朝から窓口に来い
・警察に行って、パスポートが盗まれたという証明書を持参しろ
ということだった。

とりあえず、帰る事が出来る事が分かったので、上司に電話をして状況を説明する事にした。
上司は「なにやってんの」とは言うものの、心配をしてくれた。この心細い状況では、とてもありがたい。
帰国が遅れる事で迷惑をかける事を詫び、帰る為にやらなければならない事を説明し、休暇をもう一日もらえるようになった。