目覚めた俺は、眠っていた何かの力が目覚めたサイヤ人のように豹変し、自分よりもはるかに体格の良い男の襟元を掴んだ。
普段の俺は、虫を殺す事も可能な限り避けようとする温和な人間(自己評価)だが、この時ばかりは違った。
おそらく、男もそういう俺の雰囲気を感じて俺をターゲットにしようとしたのだろうが、この時の俺の変化に明らかに驚いていた。それほどその勢いが凄まじかったのだろう、

そのままの勢いで俺は「金返せ」と一言だけ告げた。
当然のように男は「盗ってない」というが、明らかに動揺を隠せないでいたその態度から、この男が金を盗っていた事は間違いないと確信した。
もう一度この問答を繰り返した後、俺は力任せに男を押し倒した。
武術の心得などないが、どうやれば人が転ぶかぐらいは分かっていたし、その時の俺は相当にマッチョだった。

相手はいとも簡単に地面に転がる格好になり、その時点で動揺がさらに大きくなっていた。
彼はこれ以上は危険だと感じたのか、急にポケットから札束を出して、こう言った。

「お前が寝てたから、ポケットからお金が落ちたんだ。俺はそれを預かっていただけだ。」

何とも情けない言い訳だった。