男は俺の予想外の抵抗に驚きながらも、さらにその表情を強張らせて俺に訳の分からない言葉を浴びせて来た。おそらく、自分の国の言葉だろう。

しかし、俺がそれを理解出来るはずも無く、拉致があかなくなったところで、タクシードライバーに車を止めるように言った。
いや、正確には大声で怒鳴った。

慌てたタクシードライバーは急ブレーキを踏み、薄暗い郊外で車は止まった。
そして俺は訳の分からない言葉を浴びせてくるこの男を車から引きずり下ろし、思いっきり男を突き飛ばした。


しかし、奴は俺を二周りほど大きくした巨漢だ。
少しよろめいたものの、転ぶまでには至らなかったが、その行為に少し怯んだ様子を見せた。
その隙をついて、俺は再びタクシーに乗ろうとしたが、その時に異変に気付いた。



そう、俺のポケットに入っていた現金が無くなっていた。