男の表情は驚きに満ちていた。
驚き様は、いつの間にかゴルゴ13に背後に立たれていた悪役の如く、強張り、青ざめていた。
これがゴルゴ13であれば、そのまま瞬殺し、「報酬はスイス銀行の口座に」なんて言うところだが、今回のシチュエーションは異常だった。

一緒にタクシーに乗った男が、俺が起きただけでなぜか青ざめているのだ。
男がまだ隣にいるだけでも不思議なのだが、さらに死人を見たような顔でこちらを見つめている。


その直後、俺は激しい頭痛に襲われた。
酒を飲み過ぎて酔っぱらってしまったにしては、激し過ぎる頭痛だ。
目眩を覚えながらも、俺はタクシーに乗ってからの事を必死に思い出そうとするが、タクシーに乗った直後からの記憶が全くない。
それならばと、俺は隣にいる男に聞いてみることにした。

「ここはどこなんだ?」

男は虚をつかれたように驚き、そして口をついて出て来た言葉は、

「俺も知らない」

だった。