ハッと目が覚める。

どれぐらい寝たのかは分からないが、まだタクシーの中にいる事はすぐに分かった。
しかし、そこがどこなのかは分からない。
そして、隣にはまだあの男がいる。

行きはものの10分程の道のりだったのだが、寝起きの感覚からすると30分ぐらいたっぷり寝たという感じだ。
どれぐらいタクシーに乗っていたのだろうと、タクシーのメーターを覗き見ると、ありえない金額になっている。
寝起きすぐの俺にはそれがどういう状況なのかは理解出来なかったが、普段酔っぱらったときよりも頭がフラフラし、視点が定まらない事には気付く事が出来た。
普段からそんなに深酒をして酔っぱらう事がないだけに、「なんか、おかしい」と頭の片隅で感じていた。

頑張って状況を整理していくと、タクシーのメーターから推測出来る乗車時間は約1時間ほど。
つまり、行きの5倍以上の金額だという事だ。
そして、隣にまだ男がいるというという事は、まだ目的地付近ではないという事だろう。

しかし、行きは10分だったのに、なぜ帰りに1時間もの時間がかかるのか?


それは、段々と意識がはっきりしてきた俺の目に映るその男の表情から伺う事が出来た。