そんな貴重な「気付き」を得る事が出来た初めての海外旅行だったが、ここで終わってしまっては単なる自慢話でしかない。
俺の人生というのは、なぜかいつもトラブルがつきまとう。
もちろん、俺の警戒心が不足しているからというも原因の一つだろうが、もう一つの理由として挙げられるのが「好奇心の強さ」に他ならない。

アンと別れたあと、俺は翌日の帰国に備えてホテルに戻り、荷造りをした。
荷造りを終えてもまだ日は高く、晩飯を食べるのにちょうどいい頃合いだった為、近くの屋台へと出かけて行った。
近くの屋台では、タイのパッタイというタイ風焼きそばが日本円で50円程で食べる事が出来た。
俺は屋台のおばちゃんにパッタイを注文し、その足でセブンイレブンに行きビールを買った。
その日の晩飯はそのパッタイセットで完結する予定だった。

セブンイレブン前の歩道に腰掛け、パッタイを食べながらビールを飲む。
時折、日が傾きかけた最後のタイの夕焼けを見ながら、何か感慨深いものに浸ったりした。
すると、隣に同じように腰掛けていた中東系の男が話しかけて来た。

「ライター持ってないか?」

俺はタバコを吸わないので、持ってないとすぐに断り、またビールを飲み直した。
すると、その中東系の男はまた話しかけて来た。

「どこから来たんだ?一人なのか?」

一人で浸っている所にうるさい奴だと思いながらも、日本から来た事を告げた。
すると、その男は急に日本語を話し始めた。

「ワタシハ トルコジンデス。」
「トウキョウデ ハタライテタ。アサクサシッテル、ウエノモシッテル。」

俺は驚きながらもあまり相手にしないようにしようと努めた。
海外で日本語を話す外人など、怪しい以外の何物でもないからだ。