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2010年07月

O氏に相談を持ちかけた俺を見て、O氏はなぜだかとっても優しい笑みを浮かべた。
男が男に投げかける笑みとしては、気持ち悪い部類に入るレベルである。
しかし、その次の瞬間に俺はO氏の笑みの意味を悟った。
俺の顔がソフィと共に店を出たいと言っていたのだ。

目は口ほどにものを言う。

その瞬間の俺の目は、相当必至だったのだろう。
O氏は多くを語らず、静かにうなずいた。

「行ってこい」

O氏の目はそう言っていた。
本当のところは違ったのかも知れないが、
人間というものは、得てして自分に都合のいい生き物である。
自分に都合の良いように解釈し、自分の考えを肯定しながら生きている。

この時の俺は抑えられない衝動に支配され、全てが自分に都合の良い解釈をするようになっていた。

こうして、俺はソフィと共に店を後にした。

ソフィの積極的な発言に驚きつつも、耳元で語りかけられたその優しさが俺を包み込んでいた。
普段であれば警戒し、そのような誘いも一旦は冗談で受け流していただろうが、その時はなぜか穏やかにその言葉を受け入れたい気持ちになっていた。

しかし、勝手の分からぬままに行動する事は、とんでもないトラブルに巻き込まれる事になることを知っていた俺は、冷静にO氏に相談してみることにした。

ちょっと話がそれるが、とんでもないトラブルについても触れておこう。
もう5年前の出来事になるが、初の海外旅行先として一人で訪れたタイで、催眠薬を飲まされてパスポートと現金を奪われるという経験があった。
詳しく書くとまた大きく脱線していく事が分かっているので軽めにしておくが、イラン人に騙されたのだ。
その当時、友人からはバカだと散々に言われたが、今振り返ってみてもバカだと思う。
しかし、その時の経験が今でも生きており、海外に旅行に行く際には、かなりの注意力で行動を取るようになっている。
それ以降はそのような事件に遭う事はなく、かなりディープな旅行をしていても、比較的平和で楽しく過ごせてきている。

あ、いや、その後も一度だけトラブルに巻き込まれた事があった。
2度目のタイで、なんだか変な女に絡まれて、深夜にカーチェイスをしたのだ。
タクシーの運転手に一生懸命事情を説明しようにも、言葉が通じない。
しかし、俺の必死の形相に何かを悟ってくれたのか、彼はタイ警察の本部に俺を連れて行ってくれた。
タイ警察の本部にタクシーで乗り付けて助けを求めた日本人がかつていたのかどうかは知らないが、おかげで俺は今も生きている。


やっぱり話が逸れてしまったが、次回はO氏に相談するところから再開しよう。

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