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2010年12月

挙動不審な俺を横目で見ながら、俺が近寄ってくるのを待ち構えていたカウンターの奥のにーちゃん。
話しかけなければ、本日の宿がないという背水の陣に置かれている俺は、待ったなしでにーちゃんに話しかけた。

最初は怪訝そうな顔をしていたにーちゃんは、意外といい奴だった。
話しかければ、「部屋は空いてる、800バーツ」だとハキハキと答えてくれた。
決して優しそうではないその顔にも、800バーツ支払った後には笑顔が浮かび、俺に体を休める場所を提供してくれた。

テンションは高いにも関わらず疲れていた俺は、とりあえず部屋に入って部屋を見渡す。
一応、最低限の防犯知識として、セーフティーボックスを使った方がいいという事だけは覚えていた。
しかし、この時は野生の勘が働いたのか、セーフティーボックスを使わないようにしようと決め、金目のものは常に持ち歩くようにした。

というのも、ドアの鍵が南京錠一つだったからだ。
部屋に入るときには外側にある南京錠を外して中に入る。
部屋の中にいる時にはその南京錠を内側からかけるというシステムだ。

つまり、外出する時に誰かが合鍵を持っていれば、もしくは鍵を簡単に開けられるような奴がいれば、すぐに部屋に入れてしまう。


さすがの俺も、これには警戒心を抱いた。
この後外出することになったのだが、その時も金目のものは身に着けて外出した。

仕方が無く、俺は「カオサンロード」を連呼した。

さすがにしつこく言ったので理解したのか、日焼けしたおにーちゃんは適当にチケットを切って、俺に手渡した。
値段は覚えてないが、150バーツほどだったような気がする。
このあたりから俺は、言葉は勢いでなんとかなるものかも知れないと知った。

そうして、俺は不安いっぱいのまま、バスに乗る。
バスの中はきたない格好をしたバックパッカーがいっぱいいた。
俺もその内の一人だと自分自身を理解しながら、周りで話している事が理解出来るようにと努めたが、それは叶わなかった。ここでも俺の英語力の無さを痛感した。

程なくして、バスは予定していた停留所へ到着した。
そう、カオサンロード入り口近くにある停留所だ。

そして、どこに泊まろうかとそこから探し始めた。このとき既に夜中の0時を回っていた。
特に行く宛も無かった俺は、停留所の付近にある数件のゲストハウスを見て回ったあと、結局停留所の目の前にあったゲストハウスに泊まる事にした。

初めて入った海外の宿はなんだか新鮮に感じ、入るなりあたりをキョロキョロと見ながら、およそフロントとは言い難いカウンターだけのフロントへと足を進めた。
そこには態度の悪そうなリーゼントのおにーちゃんがガムをかみながら待機しており、遠くから挙動不振な様子で近寄って来る俺を見ていたようだった。

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