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2012年08月


彼女がSMSでメッセージを送って来るのに対してガンガン返信し、彼女が指定した場所へは途中まで地下鉄で行ける事が分かった。
その為、今回の国境越えでは罗湖を選択し、旺角東からMTRに乗って北へと向かった。

ここからが俺の人生初の中国一人旅の始まりである。
ちなみに、その時の俺の中国語レベルは口を開けば「ニーハオ」としか出てこない程、中国語というものを知らない惨惨たるレベルであった。
全く英語が通じないと聞いていたものの、行けばなんとかなるだろうと若干油断して突入したのだが、この甘さが後に大きなトラブルを生む事になる。

MTRに乗って罗湖にたどり着いた俺は、まだまだ余裕綽々でスキップすら出来る勢いだった。
というのも、MTRを降りたそこはまだ香港だったからだ。
MTRの改札を超えると、すぐにイミグレーションが現れる。
マカオ行きでイミグレーションの対応はすっかり慣れたものだったので、ここでもまだ余裕綽々屁のカッパで、香港居民の特権でもある香港IDカードを天高くかざして俺は自動ゲートに勢い良く差し込んだ。

ずっぽし!

差し込む瞬間に心の中で呟いた。
俺の中で何かが弾ける音が聞こえたような気がしたかと思った瞬間、自動ゲートの小さな液晶画面には赤い警告マークと共にエラーが表示された!

さっきまでの余裕が小さなトラブルで一気に消し飛び、狼狽しながらイミグレーションの係員を呼んで対応を依頼した。
係員は「やれやれ」といった表情を浮かべながら、これ以上無いぐらいのけだるさを兼ね備えた歩き方でにじり寄ってきた。

そして、俺に質問をしてきた。

「○△×□!!??」

広東語である。んなもん、分かるかい!!
しかし、ここで無視する訳にはいかない為、俺は精一杯の作り笑いで微笑み返した。
すると、係員の表情は一瞬曇りに曇ったが、変な小さな端末をピコピコ操作してゲートを開けてくれた。

何はともあれ、これで無事に出国出来たわけだ。
出国すなわち、国境ということで、俺は徒歩で中国と香港の間にある川にかかる橋を超える。
途中に国境を示すラインが引いてあるが、怒濤の如く押し寄せて来るボーダー越えの人民の波に負けて、立ち止まる事すら許されなかった。

こうして、いつのまにか俺は中国領土へと侵入した。



2012年累計スパン: 189 (2012/8/29)
3年連続200スパン達成まで、あと11スパン


波波がマカオに居れなくなった理由が分からないまま、波波がマカオを去って時間が過ぎていった。
波波が中国に戻ってからもSMSで連絡は取り合えていたが、なかなか会う機会には恵まれなかった。
というのも、その当時の俺にとっては中国というのはまだまだ未知の世界であり、香港から国境を越えるというのは恐怖を感じるものでもあったからだ。

香港という場所は、日本と比較すると街はやや乱雑だ。
街中にはどこから出てきたのかという程に人が溢れ、人々は所構わず自分勝手に大声で発言し、基本的には周りの事は気にしない。
そんな香港の人ですら「大陸には行かない方がいい」と口を揃えて言うからには、よっぽど恐ろしい所なのだろうと考えていた。

しかし、今回の波波の件で、俺は国境を越える決心がついた。
中国国境越え、それは波波に会いに行く為の決死行だった。

何はともあれ、俺は国境を越えて波波に会いに行くという最終目標を達する為に、彼女が指定する場所までの道のりを徹底的に調べあげた。

その場所は、「南山」。

深圳の少し西の方にあるエリアで、まだそれほど開発されていないエリアだが、彼女はそこで待っている。
それだけの理由があれば、俺には「行かない」という選択肢はもはや無かった。




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