彼女がSMSでメッセージを送って来るのに対してガンガン返信し、彼女が指定した場所へは途中まで地下鉄で行ける事が分かった。
その為、今回の国境越えでは罗湖を選択し、旺角東からMTRに乗って北へと向かった。

ここからが俺の人生初の中国一人旅の始まりである。
ちなみに、その時の俺の中国語レベルは口を開けば「ニーハオ」としか出てこない程、中国語というものを知らない惨惨たるレベルであった。
全く英語が通じないと聞いていたものの、行けばなんとかなるだろうと若干油断して突入したのだが、この甘さが後に大きなトラブルを生む事になる。

MTRに乗って罗湖にたどり着いた俺は、まだまだ余裕綽々でスキップすら出来る勢いだった。
というのも、MTRを降りたそこはまだ香港だったからだ。
MTRの改札を超えると、すぐにイミグレーションが現れる。
マカオ行きでイミグレーションの対応はすっかり慣れたものだったので、ここでもまだ余裕綽々屁のカッパで、香港居民の特権でもある香港IDカードを天高くかざして俺は自動ゲートに勢い良く差し込んだ。

ずっぽし!

差し込む瞬間に心の中で呟いた。
俺の中で何かが弾ける音が聞こえたような気がしたかと思った瞬間、自動ゲートの小さな液晶画面には赤い警告マークと共にエラーが表示された!

さっきまでの余裕が小さなトラブルで一気に消し飛び、狼狽しながらイミグレーションの係員を呼んで対応を依頼した。
係員は「やれやれ」といった表情を浮かべながら、これ以上無いぐらいのけだるさを兼ね備えた歩き方でにじり寄ってきた。

そして、俺に質問をしてきた。

「○△×□!!??」

広東語である。んなもん、分かるかい!!
しかし、ここで無視する訳にはいかない為、俺は精一杯の作り笑いで微笑み返した。
すると、係員の表情は一瞬曇りに曇ったが、変な小さな端末をピコピコ操作してゲートを開けてくれた。

何はともあれ、これで無事に出国出来たわけだ。
出国すなわち、国境ということで、俺は徒歩で中国と香港の間にある川にかかる橋を超える。
途中に国境を示すラインが引いてあるが、怒濤の如く押し寄せて来るボーダー越えの人民の波に負けて、立ち止まる事すら許されなかった。

こうして、いつのまにか俺は中国領土へと侵入した。



2012年累計スパン: 189 (2012/8/29)
3年連続200スパン達成まで、あと11スパン