喧噪の中の視線に気づいた俺と彼女は、どちらからともなく歩み寄り、軽く言葉を交わした。
もちろん、ここでも英語がメインで使用される。

俺は過去に数回タイを訪れた事があるが、こんなに何度も繰り返し訪れたくなるのはマカオとタイぐらいのものだ。
しかも、タイでは5年前にはイラン人に騙された事があるにも関わらず。
この話には以前に少し触れた事があるが、せっかくなのでここで触れておこう。

初めての海外旅行で訪れる事になったタイ。
プライベートで色々と問題を抱えていた俺は、なぜかそのタイミングで1週間の長期休暇がもらえることになった。
それを友人に話したところ、「だったらタイに行ってこい」と力強く言われた。
理由は深くは聞かなかったが、友人の勧めに黙って従った。そのときの俺は、本当に行き先などどこでもよかった。

しかし、これが俺の人生の転機になった。