静かにじっと快感に身を委ね、時折甘い吐息を漏らすアイリーン(仮)の姿は、責めている俺のS心をますますかき立てた。

女性は往々にしてM気がある。
そして、Mな女性のほとんどが「じらされる事」を快感に感じる傾向にある。
これも俺のセオリーの一つだが、初めての相手は相手の出方を見つつ、セオリーに従っていく。

もちろん、いちいち考えて口に出しながら責めるわけではない。
そんなことをしている奴がいたら、それは本当にキモイ。単なる変態だろう。
俺は口に出さず、ただの一言も発せずに黙々と責める。
これが最良の責め方だと、感覚的に理解しているからだ。

女性は想像の中でも自分を別のものに例えて快感を感じる事が出来るんだと、昔ずっぽしした女の子から聞いたことがある。
つまり、俺とずっぽしをしようという時に、自分は別のことを考えながら快感を増幅させているというのだ。
初めてそれを聞いた時には、

「なんて、けしからん」

と思ったものだが、よくよく話を聞いてみると、これがなかなかに面白い。
通常、この手の話を聞くと、自分よりもイケメンな芸能人などを想像して、その芸能人に責められているという妄想で快感を増幅させるのかと思いがちだが、この子はそうではなかった。

その女の子は、こう言った。

「私はサボテンなの。」

と。


当然、俺の頭の中は一瞬にして「???」で埋め尽くされた。
そして、その子がサボテンとして佇んでいる姿を想像して、思わず吹き出した。

さらに、そのサボテンを責めている俺の姿を想像して、また吹き出した。

「サボテンを責めたりしたら、チクチクして責められないでしょ」

と普通に考えてしまったが、一通り笑ったところで、なぜそんな想像をするのかと興味を持った。

この回答を聞いて、「世の中には、実に色んな人間がいるものだ。」と感心させられたのと同時に、「井の中の蛙、大海を知らず」とはこのことかと、自戒の念を抱いた事も先に伝えておきたい。