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2010年07月

優しい目に引き込まれていく俺をしり目に、隣ではO氏とアレックスが楽しそうに会話をしている。
俺は引き続きたどたどしい英語で何とかコミュニケーションを取ろうとするも、彼女の言っている事がほとんど聞き取れない。

「ああ、中学・高校でもっと英語頑張ってれば良かった。」

心から、そう思った。
しかし、その後俺の英語が上達しているかと言えば、そうでもない。
そのあたりについてはまたいつか触れる事があるだろうが、今は優しい目をした彼女の話を進めたい。

こうして筆が進むうちに、彼女の名前をうっすらと思いだした。
彼女の名前は、確か「ソフィ」と言った。
暗いところでしか顔を見ていないが、年の頃は俺と同じぐらいか少しお姉さんで、どことなく温かい雰囲気を持っていた。

ソフィは英語がてんでダメな俺を見限る事も無く、一生懸命に話を続けてくれた。
ソフィが言ったことを理解できないそぶりを見せると、何とか伝えられないかと優しい言い回しを選んで言い直してくれたり、大げさなジェスチャーを交えて説明してくれたりして、なんだかとてもうれしくなった。

そんな俺の表情を読み取ったのか、ほんの一瞬の沈黙の後、ソフィが言葉を発した。


「あなたの家に行きたい」



そう、それは優しくも積極的な発言だった。

飲み物が到着すると、O氏のお気に入りが乾杯の音頭を取る。
どこの国も乾杯をするのだ。

乾杯をした後は、O氏とお気に入りは二人の世界を構築し始める。
一緒に来ている俺の事などお構いなしに、「彼氏と彼女」さながらの状態に発展し、当時ウブだった俺はそれを見て少し恥ずかしくなったのを覚えている。
もちろん、今では自分がO氏に負けない状態であることを補足しておきたい。

そんな俺に気を遣ってくれたのは、O氏のお気に入りのフィリピーナだった。
今後も度々登場する事になるので、仮の名を「アレックス」としておく。
アレックスは一人でキョトンとしていた俺に対して、自身の友人を紹介してきた。
友人の名は忘れてしまったが、なんだか落ちついた感じのあるフィリピーナで、他の女性達がダンスフロアに移動して踊り始めたのを優しい目で見送ったあと、俺の隣にやってきた。
名前は忘れてしまったが、優しい口調で色々と尋ねてくる。

「どこから来たの?」
「名前は?」
「香港に来てどれぐらい?」

これぐらいの英語は理解出来た。
そう、フィリピーナ達との会話は全て英語である。
彼女達はフィリピンの言葉であるタガログ語を使って話をしているが、対外的に会話をする時は流暢な英語を使う。
O氏曰く、ここがフィリピーナを選んだ一番のポイントらしい。
流暢な英語を使うO氏は、英語を使って会話を楽しみ事が出来るという点でフィリピーナを選んだらしい。

楽しそうにアレックスと会話をするO氏の脇で、俺は慣れない英語での会話にオドオドしながらフィリピーナの優しい目に引き込まれていった。

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