十八サウナで、彼女に出会った - その19
自動券売機と対面した俺は、タイの自動券売機の操作を思い出しながら漢字で表示されている路線図上の目的の駅を「ポチっと」タッチした。
頭の中では波波の乳首を「ポチっと」したいという欲求でいっぱいだった為に、この時点で早くも息子は少し元気になっていた。
「ポチっとな」
この言葉を脳内再生しながら、俺はくしゃくしゃの1元札を投入して乗車券を購入した。
深圳の地下鉄は現在も拡張中だが、その当時はまだ延伸工事真っ最中だった。
その為、目的地の南山へもっとも近くて分かりやすい駅まで地下鉄で行き、そこからタクシーに乗るという計画を立てていたが、当然俺は中国語が出来ないので目的地を紙に書いてタクシーの運転手に見せるというつもりでいた。
目指した地下鉄の駅は「世界之窗」という、日本語に訳すと「世界の窓」という何とも誇大妄想甚だしい駅だ。
そして、この駅の目の前には「世界之窗」という世界各国の特徴をミニチュア化したテーマパークが存在しているが、よっぽどの事情が無い限り来園をお勧めしない。
というのも、
くそつまらん
からだ。
端から端までどこをとっても中国クオリティなテーマパークは、楽しむ要素はさほど無いのだが、なぜだか無邪気にはしゃいでいる中国人民達に混じって広大な敷地を歩き続けなければならない。
かわいい小姐でもいれば話は別だが、大半は田舎から出てきたようなじーさんばーさんだ。
その中で、敢えてオススメスポットとして挙げるとすれば、
ニセモノ富士
かも知れない。
見た瞬間に「お前ら、日本に行った事ないだろ!!」と、心の奥底からツッコミたくなるシロモノなだけに、日本人の失笑を買う確率はほぼ100%だろう。
著作権の概念の無い国は世界中が知っているが、エッフェル塔のコピーを作ってしまって名物にしているあたりも、理解し難い。
話がどうでも良い方向に逸れたが、このテーマパークの近くにあるタクシー乗り場から、俺はタクシーに乗り込んで波波の待つ場所へと向かった。