2014年珠海探検の巻 - 21
打令嬢がニコニコしながら腕を組んでくる。
さりげない愛情表現に俺の心の奥ははじんわりと温かくなり、その後の楽しいスパンを想像すると、俺のポンチにも温かい血液がドッと流れ込んでくるのを感じた。
嬢の家は、旧市街の一画にある古い建物の3階にあった。
当然のようにエレベーターなど無く、狭い階段を3階まで上がらなくてはならないのだが、二人一緒ならその疲れすらも楽しみに変わるものだ。
終始ニコニコしながら、彼女は俺を家に迎えてくれた。
家に入ると、もう一人の同居人の女性がおり、同居人も俺を打令で見かけた事があるようで「ああ、あなたね」という顔をしながらにこやかに手を振る。
俺もそれに応えようとするのだが、打令嬢に引っ張られるように部屋へと移動する。
「水、飲む?」
階段を一生懸命上がってきた俺に対しての気遣いなのだろう。
俺が背負っている重たい鞄を椅子の上に下ろすのを手伝おうとしながら、彼女はそう声をかけてくれた。
「ありがとう。」
俺はそれだけを告げると、一層大きな笑顔で頷いて水を取りに行ってくれた。
ホスピタリティの塊のような子だ。
俺は水を受取り、ベッドに腰を下ろす。
彼女達の家は2DKの間取りで、リビングを共同で使い、4畳半程の部屋をそれぞれ個室として利用している。
個室の中にはベッドと鏡台、少しの収納スペースがあるだけ、もう余分なスペースなど無いのだが、彼女は日々をそこで過ごしている。
俺がベッドに腰を下ろして水を飲み、ふぅと一息ついたところで、俺の前に立っていた打令嬢が無言で両手を差し出す。
ん?水が飲みたいのか?
と思った俺は、彼女にペットボトルを渡した。
すると、彼女はそれを静かに鏡台の上に置いて、ベッドに腰掛けている俺の上に覆いかぶさってきた。
「会いたかった。」
普通なら男性である俺が女性に向かっていう事が多いであろうセリフである。
言われ慣れていない俺は、不覚にもその言葉だけでドキドキしてしまい、無言のまま黙ってしまった。
何も言わない俺を覗き込むように俺の顔の高さまで顔を下げた彼女は、満面の笑みを見せた後に優しく俺にキスをした。
ドサッ
そして、押し倒された。
続く
2014年累計スパン結果: 228スパン(2014/11/30)