カンボジアで天使に出会った話 第5話 ~ハッピーK島のゲイ疑惑~
2日目。
コンコンコンコンコン!!!!!!
コンコンコンコンコン!!!!!!
ハウスキーピングです!!!!
と騒がしい声で目が覚める。
休日の目覚め方としては最悪な部類の方だろう。
とりあえずうるさいので、パンツ一枚で寝ていた俺はベッドから身を起こして腰にタオルを巻いて扉を開けた。
ガチャ
25歳ぐらいの若めの女子が清掃員の服装をして立っていた。
そして、上半身裸で腰タオル状態の俺を見ると、恥ずかしそうに顔を逸らせながら「へ、部屋の掃除なんですがっ!な、何時からにしますかっ?」と聞いてくる。
起きたばかりで時計も見ずに扉を開けたので、何時かも分かっていないのだが、「とりあえず30分後でお願いします。」と告げると、「わ、分かりました!」と一目散に立ち去った。
・・・そんなに俺って気持ち悪いのか?
と軽くショックを受けるほどの立ち去りっぷりだったので、そこで一気に目が覚めた。
気を取り直して時計を見ると、なんと朝の8時45分。
朝早めにハウスキーパーに起こされる事はこれまでにもあったが、朝9時よりも前に起こされる事は稀だと思う。
そして、時間が分かったと同時に、俺の愚息も「おはようございます!!!!!」と爽やかな目覚めをしていた事に気が付いた。
ああ、これか・・・・
このバカ息子めっ!!(てへ)
前日の夜に帰宅したのが夜中の2時ぐらいだったはずなので、寝不足気味な起床を強制させられた事になるが、起きてしまったので仕方なくシャワーを浴びてから朝食を取るべく部屋を出ると、そこには先ほどの清掃員がいた。
ちゃんと服を着ている俺を見て、ニコニコと微笑みながら「もう掃除してもいいの?」と声をかけてきたので、「うん、お願いします。」と伝えて立ち去った。
最上階にあるテラスがある朝食スペースで朝食を摂りながら、掃除が終わるのを待つことにしたのだが、ここの朝食がまた不味い。
一見普通に見えるフランスパンですら不味い。

高層ビルが少ないプノンペンの空は広いのだが・・・

高層ビルが少ないプノンペンの空は広いのだが・・・

あれこれ試してみたが、まともなのはコーヒーとシリアル(with 牛乳)ぐらいのもので、あとは正直食べなくても良いレベルだ。
たかだか3500円ぐらいの宿泊費に朝食が無料で付いてきているのだからえらそうな事は言えないのだが、ここで無理に食べてお腹を膨らませようとするぐらいなら、コーヒーだけサクッと飲んで外に出かけて2ドルぐらいの適当な飯を食うのが良い気がする。
あまりに不味いので食べるのを止めて近所を散歩しようかと考えていた時に、K島氏から連絡がきた。
おはようございます!
何してますか?
朝から起こされてしまったので、上で朝食を食べてます。
来ます?
はい、行きます!
という会話の後、K島氏はすぐに上に上がってきた。
そして俺が「ここの朝飯、クソ不味いっすよ」と言うと、全く手を付けようとしなくなった。
リスクテイクの基準が非常に極端な御仁なので、飯が不味いというと手を付けないだろうと予想はしていたが、徹底的に手を付けないあたりはさすがである。
一方で、謎の抹茶ピザにはガンガン手を出すので、極端なのである。
リスクテイクの基準が非常に極端な御仁なので、飯が不味いというと手を付けないだろうと予想はしていたが、徹底的に手を付けないあたりはさすがである。
一方で、謎の抹茶ピザにはガンガン手を出すので、極端なのである。
俺たちはそこで「今から何しましょう?」という会話をした後に、その辺をとりあえずうろうろしてみようという話になり、特に目的も無く歩き始めた。
道中、かわいい子犬や寺院を見つけて写真を撮り、カンボジア旅行をしているというアリバイ作りに努めていた。



その道中、
あ、こんなところにもマッサージ屋があるな!
あとで行こうかな!!ホテルからも近いし!!
と、K島氏が唐突に叫んだ。
どれどれと俺が看板を見て見ると、

・「パラダイスマッサージ」という名前
・ロゴにムキムキマッチョな男性と虹の意匠
・看板の端になぜか上半身裸の男性の写真
以上の点から、このマッサージ屋はゲイ向けのマッサージ屋だと判断した。
K島氏にそれを伝えずに黙って行かせるのも面白いと思ったのだが、知らずに入ってお尻を掘られてしまって歩けなくなってしまっても困るので、一応俺の見解を伝えておいた。
ここ、ゲイ向けのお店っすよ、たぶん。
それを聞いて、K島氏は驚いている。
えー!えー!そんな店があるんですか!?
うわー!
・・・喜んでいるようにも見えるのだが、そこの細やかな描写は省略し、とりあえずこの写真を見てもらって読者の皆さんに判断して頂こうと思う。

それからまた少し歩いてホテルの近くに戻ってきた際に、軽く飲みながらちょっとつまみましょうと近くの食堂のような店に入った。
焼きそばのようなメニューがあり、それが2ドルぐらいだった気がするが、俺は不味い朝食を食べたばかりでほとんどお腹も空いてなかったこともあり、とりあえずその焼きそばもどきをツマミにビールを飲む事にした。

が、これも不味い。
ビールはどこでも同じ味だが、この一品がツマミにならないぐらいに不味い。
俺達はほんの少しだけ手を付けて、あとはひたすらビールを飲んでいた。
そして、「さっきのはたまたま不味いものを注文してしまっただけだろう!もう一品頼んでみよう!」と別の品を頼んでみたところ、

やっぱり不味い。
ただの炒め物でこんなに不味く作れるのかーというレベルでだ。
もう飲むしかなくなってしまったので、俺たちは不味い飯に手を付ける事無く飲み続けた。
そして、「さっきのはたまたま不味いものを注文してしまっただけだろう!もう一品頼んでみよう!」と別の品を頼んでみたところ、

やっぱり不味い。
ただの炒め物でこんなに不味く作れるのかーというレベルでだ。
もう飲むしかなくなってしまったので、俺たちは不味い飯に手を付ける事無く飲み続けた。
しかし、まだ朝の11時である。
午前中からほろ酔いになった俺は、二度寝しようと部屋に戻った。
あれから1時間半も過ぎているので当然部屋の掃除も終わっていたのだが、部屋に入ってちょっと驚いた。

チップとして置いておいた1ドル紙幣が、きれいにベッドの上に置かれていた。
あれ?カンボジアってチップの習慣無いのか?
とか思ったが、習慣があろうがなかろうが1ドルぐらいは感謝の気持ちとして払っても良いと思っていたので、部屋の外に出てハウスキーピングの女性を探して、見つけたら「ありがとう」と手渡そうと思ったのだが、既に別の階に行ってしまったのか、もう見当たらなかった。
1ドルのチップも受け取らないのはなんだかくすぐったい感じがするのだが、とりあえず明日も試してみたいと思う。
〇カンボジアで天使に出会った話